映像作家・保山耕一さんのライフワーク「奈良、時の雫」

まず、下の動画をご覧になってみてください。(3分半程度です)

いかがでしたか? 風にそよぐ紅葉、舞い散る葉、揺れる水面など、紅葉という一言では語り尽くせない、自然の色彩の美しさや奥深さを感じられたのではないでしょうか。

この動画を撮影・編集されたのは保山耕一さん。

先日届いたモンベルの会報誌『OUTWARD』(No.77冬号)に掲載されていた、モンベル代表・辰野勇さんとの対談記事「後悔のない人生を歩む」で、初めて保山耕一さんのことを知りました。

保山耕一さんについて

保山さんはかつて、「情熱大陸」や「世界遺産」といったドキュメンタリー番組を担当するなど、第一線で活躍するフリーランスのテレビカメラマンでした。

高卒でフリーの保山さんが、一流大学卒でエリート揃いのテレビ局のカメラマンたちと競うには、圧倒的な実力が必要だったので、休みなしで自然風景を撮影する仕事で腕を磨き、そんななか勝ち取ったのが「世界遺産」の撮影の仕事でした。

このような経緯もあり、親の葬式以外はカメラを持って仕事といった生活を、30年間も続けることになりました。

入院生活

しかし、2013年に病がみつかります。病に倒れた途端、保山さんの周囲の人たちは離れていってしまいました。
仕事でしか人間関係を築けていなかったのでしょう。非常に身につまされます。

世界の自然を撮影してきた保山さんですから、入院生活中も外の空気に触れたくて仕方がありませんでした。
窓の隙間から手を出し、雨の日は雨粒が手に当たるのが気持ち良く、その感覚が忘れられなかったそうです。

「ああ、もう一回だけ元気になって、ずぶ濡れになってもいいから、自分の一番撮りたい場所を撮影してから死にたい。1日だけ体が動く日がほしい。そんなことばかり考えていました」

その後、退院。2ヶ月間のリハビリで外出できるほど回復。そして撮りたいと思ったのが、奈良の自然でした。
仕事で世界中の自然を見てきた保山さんから見ても、奈良の自然は特別なもの。

「1日1日、季節の移ろいを毎日感じられるくらいに、撮れるものがあるし、歴史や生物や植物、それら全てが背中合わせで、混じり合って存在している。立っているだけで、奈良時代の昔まで見通せる場所です。だからこの場所は、日本の宝ではなく、世界の宝だと思っています」

最初は、スマホ(GALAXY)で撮影・編集

病で仕事から遠ざかってしまった保山さんの手元には、ビデオカメラはありませんでしたが、スマホを三脚にガムテープで固定して撮影を開始。

その作品群は「奈良、時の雫」と名付けられ、YouTubeで公開されています。

冒頭にご覧頂いた「東吉野村木津川の紅葉 」もそのひとつです。

「雨の西大寺」
「ずぶ濡れになってもいいから」の言葉どおり、「雨の氷室神社」「雨の薬師寺」など、雨の日の作品もいろいろあります。

 

「天理の河津桜」
保山さんにとって桜は重要なモチーフ。この動画も再生回数1000回を超えています。

そして、対談の最後ではこのように語っています。

今後も、自分が撮りたいものを撮るという軸は変わらないのですが、僕の映像や技術を必要としてくれている方々がいるので、その人たちの役に立ちたいです。月並みですけど、ありがとう、と言われることが今一番嬉しい。大好きな奈良の風景を撮り続けて、現場で死にたいですね。

年末・年始にじっくりどうぞ

現時点で370本の動画が公開されており、その作品群は下記のリンクから観ることができます。

「奈良、時の雫」

できれば、YouTubeの設定を大画面にして、フルスクリーンで奈良の四季の色彩を、細部まで鑑賞していただくことをお勧めします。

私も先日から鑑賞し始めたばかりで、実はまだ7本しか観れていません。

年末か年始に時間をつくって、厳かな雰囲気のなかでじっくり観てみようと思います。

4 Comments

chienoha

保山様
こちらこそ、素敵な映像作品をありがとうございます! 保山さんの制作のスピードに観るのが追いついていない状況です。
自分もライフワークと呼べるものを見つけたいです。今後ともよろしくお願いいたします!

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古家善廣

保山さん素晴らしい映像をありがとうございます。私も2年前、すい臓がんの第4ステージと言われ、死を覚悟したのですが、担当の先生たちに13時間を超える手術をしていただき、奇跡的に回復。今はたまに好きな低山歩きや、俳句の仲間たちと景色の良いところを歩けるようになりました。これからも素晴らしい映像を制作してください。楽しみに一層元気に生きていきます。現在72歳の男性です。

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chienoha

古家善廣様
コメントありがとうございます。
すい臓がん克服! 登山! 俳句!
ますますのご活躍と楽しい人生を!

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