金井真紀さんの「マル農のひと」を読みました。
金井さんの本を読むのは「世界はフムフムで満ちている」、「パリのすてきなおじさん」に続いて3冊目。
「パリのすてきなおじさん」も面白かったですが、この本も前著に匹敵するほど面白かったです。
みかんの声を聞いたおじさん
この本の主役となるのは道法正徳(どうほうまさのり)さんという広島出身のおじさん。
その道法さんがJAの技術指導員として働くなかで、偶然や様々な出会いから「縛る農法」(道法スタイル)を確立していきます。
当初この手法は、みかんなどの柑橘系の果樹で確立されたものでしたが、従来の慣行農法に疑問を持ち試行錯誤する中で、果物だけでなくその他様々な野菜にも応用されていき、やがてその栽培法の実践者たちの輪が広がっていく実話です。
道法スタイルの実践者たち
当初は道法さんのことだけで本を作ろうと思っていたようですが、実践者の話も2人ぐらい入れようと取材したところ、それが最高に面白かったので、最終的には道法さんと7人の実践者のエピソードで構成されることになったとのこと。
実践者の背景も原発事故・水俣病・豪雨災害など様々。
一人ひとりの声を拾い上げていくのは金井さんの真骨頂。金井スタイル(?)
今回も金井さんのイラストはいい味出してます。
縛る農法
栽培方法に興味がある人にとっては、その「縛る農法」について早く知りたいところだと思いますが、「マル農のひと」に詳細は書かれていません。
「ぎゅうぎゅう縛る」とか、植物ホルモンや剪定方などについて少し触れられてはいますが、実際どうすれば良いかはこの本だけでは分からないはずです。
「野菜の垂直仕立て栽培」
道法さんは「グリーングラス」という会社を立ち上げ、全国各地での栽培指導や講演活動をされています。
しかし、家庭菜園レベルの私には料金的にも技術的にも、ハードルが少々高く感じていたところ……。
後日調べてみたら、道法さんが書かれた「道法スタイル 野菜の垂直仕立て栽培」という本が既に出版されていました。
「マル農のひと」とは違い、こちらは栽培方法についての実用書。
判型もA4サイズのムックタイプ。
カバーには「縛れば野菜は驚くほどよく育つ!」と書かれています。
第1章では、植物ホルモン(オーキシン・サイトカイニン・エチレン・ジベレリン)について詳しく解説。
今まで自然農法・自然栽培系の本を数冊読んできましたが、「植物ホルモン」という言葉を聞いたのは道法スタイルが初めてです。
第2章では、残念ながら果樹については書かれていませんが、トマト・ナス・キュウリなどの夏野菜からカブ・ダイコンなど根菜類、キャベツ・ハクサイといった葉物など、家庭菜園でよく育てられる24種の栽培法が網羅されています。
家庭菜園レベルの私のような読者にはちょうど良い内容だと思います。
果樹についてはまた別の本が出版されるような気もしますが、どうでしょうね。
春が楽しみ
どちらの本も購入したのは昨年の冬。
すぐにでもぎゅうぎゅう縛ってみたいところですが、縛る野菜がありません。
試しにニンニクの葉を少し縛ってみましたが、ある程度育ってからなのであまり実験にはならない感じ。
本当にこの縛る農法で虫がつかなくなり、収穫量が増えるのか?
春の種まきが待ち遠しいこの頃です。
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